レーザー治療は20年以上の歴史がありますが、研究と開発が進み、最近では機器本体の小型化が図られ、手技の習得熟練により、手術時間の短縮が進み、皮膚科、眼科や耳鼻咽喉科などをはじめ、臨床外来での応用が広がってきました。アレルギー性鼻炎の場合、花粉やハウスダストなどに過敏になった、鼻の病的粘膜をレーザーで焼灼して処置することで、鼻のアレルギー症状をおさえる治療です。そのため、鼻の症状が軽くなり、薬が不要になったり減らしたりすることができます。アレルギー性鼻炎に効果が高いとして注目を浴びています。
治療の対象
レーザー治療は、通年性のアレルギー性鼻炎や季節性のアレルギー性鼻炎(花粉症)に対して有効です。特に鼻づまりには効果が高いといわれており、約90%の人に有効と言われています。社会人の場合は治療によって、外来通院の回数を減らせ、仕事の効率が上がり、また、学童や中高生では鼻づまりが改善することにより、勉強の集中力が向上するというメリットもあります。鼻水やくしゃみなど他の症状も合わせると、70~80%の人に効果が見られます。
特に下記の方に有効と考えます。
- 1年の間アレルギーの薬を飲む期間が長い
- 鼻づまりの症状がずっと続く
- 薬処方での通院の回数をできるだけ少なくしたい
- 飲む薬の量を少なくしたい、できれば飲みたくない
- 薬は長い間飲みたくない
- 薬はあまり効かない
- 薬を飲むと眠気を強く感じる; 口がひどく乾きやすい
- 妊娠中や授乳中
- 緑内障、前立腺肥大などの持病がある
治療の費用
レーザー治療費は手術代、再診料、処方せん料を合わせると3割負担の方は約1万円程度となります(お子様の場合は公費負担の対象です。)。
治療の方法
飲み薬と同様で、通常の通院外来で治療ができます。痛みと出血が少ないため、お子さまでも受けることができます。またレーザー治療は鼻の中だけの治療なので、顔に傷あとが残ることはありません。
- 手術の説明
レーザー治療を受ける前に一度受診していただき、手術についての説明をします。手術が可能かどうかもこの時に判断します。
- 麻酔
レーザー治療の前に麻酔を行います。 鼻の中だけの局所麻酔で、注射などは行いません。麻酔液がついた細いガーゼを鼻の中に入れ、麻酔が効くまで少しお待ちいただきます。
- レーザー治療
両目をレーザーから保護するためにメガネをかけていただきます。
内視鏡で鼻の中を確認しながら鼻の粘膜の表面をレーザーで焼灼していきます。
レーザー治療は原則として両鼻同時に行います。麻酔をしているため治療中はほとんど痛みを感じることはありません。治療時間は鼻の両側で10~15分です。
追記※鼻づまりが特に強い人や、通常のレーザー治療で効果が得られにくい場合、レーザーの機械の先端を粘膜の奥まで刺し込んで治療する方法もあります(通常のレーザー治療は鼻の粘膜の表面を治療するだけです)。 この方法は少し痛みがあることもありますが、鼻づまりにはかなり効果的なので、必要と思った場合は相談して決めていきます。
- 治療後
治療当日は運動、飲酒などは控えていただきます。 翌日からは通常の運動は可能ですが、水泳は約1週間中止してください。 治療後は一時的に鼻の症状が強く出てきます(約3日は鼻づまりが強くなります)。これは治療後の鼻の炎症反応なのでやむを得ない症状ですが、かならず治まりますのでご安心ください。 当院では手術後1週目までは週1回程度通院の上、鼻の処置をすることをお勧めしています。処置をしないために鼻の中で粘膜が癒着(くっついてしまう)する場合もあるからです。
追記※
レーザー治療自体は原則1回で終了します。効果が不十分な場合は追加治療を行うことがあります。患者さんの状況を見て、医師が判断いたします。
レーザー治療の効果は永続的に続くものではありません。効果の持続期間には個人差がありますが、平均して1~2年は治療効果が続くといわれています。
治療効果が切れてくると鼻の粘膜が元の状態に戻ります。そのため繰り返して治療することが可能です。
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鼻づまり、鼻水などの症状がつらい方、お薬の服用を減らしたい方はどうぞ気軽にご相談ください。